平成26年第3回定例会で区議会自民党を代表し、表記の通り賛成討論に立ちました。
以下に、討論の全文を記載します。
私は区議会自由民主党を代表して、報告第27号「平成25年度江戸川区各会計歳入歳出決算の認定」に対し、賛成の立場から意見を申し述べます。
「悲観して立ち止まるのではなく、可能性を信じて前に進もう」「厳しい現実に立ちすくむのではなく、輝ける未来を目指して、共に立ち向かおう」
第187回国会の開会にあたり、明治時代の農業指導者、古橋源六郎てるのりの功績を例にあげ、安倍総理が所信表明演説で力強く述べた言葉です。
現に、失われた20年とも言われる暗く、重たい閉塞感に包まれていた我が国の経済環境は、アベノミクスという3本の矢により、今や確実に未来への展望を取り戻しつつあります。
第2次安倍内閣発足から1年と10ヵ月余り。平成25年度は各種経済指標が示す通り、景気回復へと大きく前進した一年でありました。「デフレ脱却・円高是正」をスローガンに、大胆な金融政策と機動的な財政政策を展開、打ち放たれた矢は着実にその効果を顕在化させ、株価、企業及び消費者マインド、円安による輸出競争力、失業率や有効求人倍率といった雇用情勢など、様々な側面から我が国の経済環境を好転させてきています。そして現在においてもなお、その成果と実感を国民一人ひとりに届けるべく、経済最優先の政権運営が引き続き展開されているところです。成長戦略の確実な実行による経済再生とそれに伴う財政再建に、多くの国民の期待が集っています。
さて、本区においては昨年度、これまでも区政発展の根幹として積み上げてきた行財政改革を更に推し進め、全庁にわたる216事業の見直しを実施、その結果として36億円の財政効果を生み出すことにより、財政調整基金を取崩すことなく予算が編成されました。一方で、社会保障の充実、教育力の向上、防災・減災対策の整備、区内産業の活性化など、今まさに求められる施策を積極的に推し進める内容であったことは、区民の期待と信頼に、真に応えるものとなり、改めて、高い評価をするところです。
平成25年度決算における本区の各種財政指標を見ると、実質公債費比率はマイナス5.7%と、平成24年度から更に0.5ポイント改善、財政構造の弾力性を測定する指標である経常収支比率も、79.8%と前年度比4.7ポイント改善されており、適正範囲である70%台に収まる結果となっています。
また、平成25年度の財調収入は860億円、前年度と比較して62億円の増となるとともに、財政調整基金の残高も246億円と、前年度に比べ132億円増加しました。これらの数値が示すところは、景気回復の兆しはもとより、将来に負担を先送りしないという、未来に向けた多田区政の強い決意の表れであり、不断の行財政改革の成果が着実に現れていることの証左であります。
歳入確保と歳出削減を適切に推し進めるとともに、一層の行政のスリム化が図られたこと、加えて、本区の強みである区民との共育・協働を一段と高めるとともに、区民の生命・財産を守る防災・減災対策を着実に推し進めることのできた平成25年度決算の認定に対し、私たち区議会自由民主党は改めて、賛同の意を表するものであります。
なお、日本共産党から出されている反対意見については、以下の理由により、賛同できません。
第1に、子どもを育てる環境を大事にしない姿勢をあげていますが、本区では、待機児童解消に向け、私立保育園の開設や、区立保育園における1・2才児の定員増を図る工夫など、新たな対策も重ねてきています。あわせて、保育ママや乳児養育手当など、本区ならではの取り組みも継続的に行われてきているところです。また、職員の資質向上を目的とした取り組みは、常勤・非常勤を問わずに、様々な角度から実施されてきており、保育・教育力の継承と発展は図られているものと考えます。故に、子どもの育つ環境をないがしろにしているという状況は全く認められず、ただ闇雲に、施設の増設や職員の常勤化だけを叫ぶその姿勢からは、本区の子育て支援を俯瞰的に捉える視点、少子化の到来を見据えた長期的な広い視野が決定的に欠けており、全く理解できるものではありません。
第2に、区民の声を顧みない道路計画と街づくりをあげていますが、上流の未整備堤防の整備を急ぐべきであるとか、東京都が実施している豪雨対策下水道緊急プランの75ミリ対策をすすめるべきなどと、本来区が担うべき責務の遂行を求めることなく、他に責任を転嫁してゆくその姿勢に、大いに違和感を覚えるところです。30年以内に70%の確率で発生するとされている首都直下型地震が想定される中にあって、数年では完結することのできない事業だからこそ、今から着実に推し進めてゆくことが、区民の生命と財産を守るという私たちの責任を果たすうえで、不可欠なのではないでしょうか。
また、平井2丁目の都市計画道路補助144号線について、住民が犠牲になるという認識から反対のようでありますが、総合危険度ランク5というこの地域の安心・安全を高めてゆくことのどこが犠牲なのでしょうか。住民の方々と協議を重ね、少しでも早く事業を実施することが重要であり、不燃化を中心とした区民の命を守る取組みを、スピード感を持って推し進めてゆくことこそ必要であります。
第3に、国の税の政策に対する姿勢をあげていますが、確かに国は、消費税率の10%への引き上げにあわせて法人住民税の国税化の拡大を予定していること、更には、法人実効税率の引き下げを予定しており、本区の財政運営に影響をもたらすことが懸念されるところです。しかし、日本共産党の主張は、そもそも消費税率の引き上げそのものに反対という持論の展開をもって区の姿勢を批判しています。そのようなかたちで区の決算の認定に反対することが果たして正しいことなのか、大いに疑問を感じざるを得ません。
第4に、教育行政についてあげていますが、学童クラブ登録の減少を補食が無くなった影響とする根拠のない理由をあげていること、加えて、補食を提供することそのものが人間教育の一環であるとする見解は、全くの見当違いではないでしょうか。
また、学力の向上に対して、少人数学級の実施と非常勤講師の質に焦点を当てるばかりで、家庭や地域を含めた複眼的な視点が不足しています。学力向上に欠かせないものは、まずは、子ども自身の学びへの意欲であり、適度な競争意識のもと共に助け合い、切磋琢磨し合う環境を、教育の第一義的責任を有する家庭を中心として、学校と地域とが深く関わり合いながら、一体となって作り上げてゆくことが重要であります。
この他、国民健康保険事業特別会計・介護保険事業特別会計・後期高齢者医療特別会計についてです。
国民健康保険については、生活費の差押えをやめること、および、資格証明書保持者が治療を必要とする場合における短期証の発行を主張していますが、支払い能力が有りながら滞納を続けている悪質な滞納者に対しては、財産調査で資力を確認したうえ、予告書も渡し、それでも応じない場合に主に生命保険や預金の差押えを実施しているのであり、慎重かつ適切に、資力を見極めたうえで行われているところです。また、資格証明書については、交通事故など救急救命の事態の際には、一時的な解除のうえ短期証を交付している現状にあり、それぞれ、反対理由として全く当たらないと考えます。
介護保険制度については、国の制度変更に伴うサービスの低下などをあげていますが、まず、要支援1・2を予防給付の対象から除外することについては、訪問介護と通所介護の利用部分と、この2つのサービスのみを利用する場合のケアプラン作成が地域に移行されるものであり、区の事業として多様な地域資源を活用することにより、むしろ、サービスの充実が期待されるところです。2点目の、特養ホームの入所制限については、認知症などを患い、常時適切な見守り・介護を必要とする場合には、区の関与のもと、要介護1・2であっても、特例的に入所は認められるものであります。なにより、ショートステイや小規模多機能型居宅介護といった、在宅介護を支えるサービスの充実化を進めてゆくことこそ、重要であると考えます。
社会保障全般に言えることとして、これら命と健康を支える制度を将来にわたって維持してゆくうえで不可欠なものは、安定的な財政基盤であることは自明であります。それにも関わらず、負担増ばかりを叫ぶそのような姿勢で、将来世代に対する責任を果たすことができるとお考えなのか、甚だ疑問でなりません。急速に進展する高齢化を背景に、費用面で増大の一途をたどる社会保障の安定的運営を考えれば、自助の精神なくして、未来への責任は語れないのではないでしょうか。
次に、民主・みんな・維新から出されている反対意見についてであります。
今回の反対理由は、議会との約束を反故した責任を問うということに留まっており、決算本体の内容に踏み込んだものではありません。また本来ならば、決算の全体を俯瞰して、認定か否かを判断すべきものと考えます。確かに、今回損金として3千500万円が出たことについては、大変残念であると言わざるを得ません。しかし、工事が一時中断し、それに伴い生産ラインがストップしたことや、下請け業者とのすり合わせに時間を要するなど、十分な想定が出来にくい状況にあったことを考慮すれば、そのような状況下で、子どもたちへの影響を極力少なくすることに最大限努め、工期延長が最小限で抑えられたことも見逃してはなりません。
船堀小学校の新校舎での授業が2学期から始まり、先月の13日には、保護者をはじめ地域住民や卒業生など、大変多くの方々をお迎えした中、学校公開と内覧会が開催されました。
木の温もりも感じられる、広く明るい校舎に対し、元気よく授業に励む子どもたちの様子も相まって、来校者の多くの方々から、高い評価の言葉、喜びの声を聞くことができました。授業に臨む児童の姿や表情からも、真新しい校舎で過ごせる喜びと期待感を感じることができました。
子どもたちのことを最優先に考え、学校・保護者・地域との綿密な連携のもと、その影響を最小限にとどめたことを、改めて評価するものであります。
冒頭で述べました、江戸末期から明治にかけて活躍した農業指導者、古橋源六郎てるのりは、村の人々が大飢饉に苦しむ現実を目の当たりにし、自らの生き方を顧み、人々を助けることへの使命感に突き動かされます。凶作や飢饉に負けない、強い村づくりを実現すべく、植林やお茶、養蚕といった産業を新たに興すとともに、いつ起こるともわからない飢饉に備えた備蓄を推進、「勤倹貯蓄」「備荒貯蓄」を人々に説き、奨励してゆきました。また、国家百年の計は植林に、国家千年の計は教育にあるとし、人材の育成にも心血を注いでいます。
現代の日本も、そして地域も、古橋が生きた時代同様、決して未来を楽観視出来る状況にはありません。世界に類を見ない早さで進行する少子高齢化や人口減少を中心に、避けては通れない課題が山のごとく目の前に立ちはだかっています。しかし、それらを悲観し、立ちすくんでいる余裕はありません。古橋が植林や教育を推し進め、備蓄を励行したように、未来に投資し、未来に備える取組みを、着実かつ迅速に推し進めてゆかなければなりません。
将来世代に負担を先送りしない健全財政の推進、いつ起こるともわからない大規模災害への備え、そして、人づくりは国づくりという言葉に象徴される教育の充実は、今を生きる私たちに課せられた未来への責任です。多田区長におかれましては、これら諸課題の解決に向け、時代を見据えた先見性と、その卓越した行政手腕を遺憾なく発揮されますよう、心から期待するものです。
私たち区議会自由民主党もまた、議会第一党としての自覚と使命感を胸に、最大限努力してまいります。
議員各位におかれましては、ぜひとも御理解を賜り、全会一致のご賛同を頂きますようお願い申し上げ、賛成討論といたします。
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